<今回から、証券営業の中で実際にあったお客様の事例などを取り上げ、「事例研究シリーズ」として不定期連載していきます。すでに投資をされている方、これから投資を始める方のご参考になれば幸いです。第1回目は投信購入後にリーマンショックに見舞われたA様のお話です。>

投資信託協会によると、国内の公募投信本数は6,187本に及び(2019年2月末)、これから投資信託の購入を検討している場合は、この星の数ほどの中から選ばなければなりません。

私も証券営業をする中で、「おすすめの投信はどれですか?」「どの投信が人気ですか?」などと聞かれることが多くありました。そのような場合、私はまず国際分散投資の投資信託を長期投資でお持ちいただくことをお勧めしていました。

もちろん、お客様の資産状況や将来のプランなどを詳しくお聞きし、ある程度の目標値を設定しながら、受容出来るリスクを算出し、そこから考えられる最適な資産配分を構築できるものを提案するのですが、その大前提として、「長期投資」があります。(トレーディング志向の強いお客様の場合はまた違う提案になりますので、それについてはまた別のコラムでお伝えします。)

ではなぜ、「長期投資」が良いのか?
様々な理由がありますが、今回はまず一つの事例をお伝えしたいと思います。

お客様:50代(女性)
家族構成:配偶者と子供2人
投資目的:将来の自分の為の老後資金への備え
資金性格:余裕資金
投資経験:株式を数銘柄保有のみで投資信託の経験は無し

2006年にこのお客様(以下A様)から相談を頂き、詳細なヒアリングを重ね、当時業界でも先行して販売されており、かつ運用成績も好調だった国際分散型のBファンドをご購入頂きました(分配金は再投資)。

購入する際に、丁寧に長期国際分散投資の有用性を説明し、商品内容にご納得されたA様はまとまったご資金でこのBファンドをご購入されました。

その後、このBファンドは、2008年のリーマンショックで他ファンドと同様に大きく下落し、買付け当時10,000円前後だった基準価額が、一時6,000円割れになってしまいました。

しかし、A様はこの大幅下落時も慌てて売却する事なく、買付け当初の長期分散投資という方針を順守し、Bファンドを保有し続けました。

結果的に、その時売却せずにお持ちいただいたこのBファンド、現在の分配金込基準価額が、お買付け当初の10,000円前後→25,000円前後の価額推移で引き続き運用されております。

 

さすがに、初めての世界的な金融危機でしたので、慎重なA様の追加購入は分配金の再投資のみでしたが、世界的なマーケットの回復局面でこのBファンドの値戻りが他類似ファンドと比較し劣後していないか等を定期的に観察しながら下落局面を乗り越えたことが、マイナスからの回復とその後の順調な値上がりに繋がったのです。

 

当時は狼狽売りが相次ぎ、最も下落した局面で損切りしてしまった投資家が多数いた中、A様は辛抱強く保有し続け、結果的に長期投資の有効性を体現して下さったお客様の一人となりました。

 

A様の事例にみる成功のポイント

  • 資金性格が余裕資金であったこと
  • 長期国際分散投資にご理解いただいた上での投資であったこと
  • 下落および回復局面で他類似ファンドの値動きと定期的に比較を行ったこと(他ファンドより大幅に値動きが悪い場合は売却も検討)
  • 分配金を再投資していたこと(下落時の安値で多くの口数に投資することができた)