老後のお金を考える【対策編~30代・40代(後編)】

前回、30代、40代が老後資金を貯めるために、支出を減らす方法を見てきましたが、今回は収入を増やす方法を見ていきます。

収入を増やす

家計を見直して無駄な支出を減らすことも大切ですが、収入そのものを増やす方が資産形成には近道かもしれません。収入を増やす方法をいくつか見ていきましょう。

自己投資

30代、40代なら、これから収入を増やしていくことも十分可能でしょう。

転職して年収アップを狙う、資格を取って手当をもらう、副業OKの会社なら副業で収入の柱を増やす、などの方法もありますし、本業で評価されて昇進、昇給することが収入増への一番の近道ですから、そのための自己投資(本業に関する勉強をする、本業に繋がる人脈を作る、仕事のやり方を見直したり、時間の使い方を見直す等々)も高いリターンを生むかもしれません。自分の成長のための投資は惜しまずにしたいものです。

注意したいのは、何かを学んだり、資格を取ったことで満足して終わることです。やみくもに資格を取っても、生かせなければ意味がありません。昨今、資格取得だけでなく、資格の維持・更新にもコストがかかることが多くなっています。資格貧乏にならないために、資格取得にもコスト意識を持ちましょう。

共働きする

夫が働いて、妻が専業主婦というご家庭の場合は、子育てが一段落したら妻も働くことで世帯収入を増やすことができます。夫の扶養内で家計の足しに働いてもいいですし、本格的に仕事を始めて、社会保険料を納めれば、妻自身も将来受け取れる年金が増えますので、将来にわたって家計にはプラスになります。

運用する

2019年2月現在普通預金金利は0.001%、定期預金でも0.015%しか付きません。30歳から老後のために毎月1万円貯蓄したとしても、60歳で360万円、利息は1万円にもなりません。人生100年時代と言われる今、長い老後の助けとするには少し寂しい数字です。これを仮に3%で運用することができたら、60歳時の手取り額は、524万円程度(税引き後)になります。さらにこれは課税後の数字ですので、iDeCoなど非課税の方法で積み立てれば、手取り額はさらに増え580万円程度になります。iDeCoは掛金自体も全額所得控除の対象ですから、年収500万円の会社員なら年間24,000円、30年間で72万円もの税制優遇が受けられます(国民年金基金連合会『かんたん税制優遇シミュレーション』にて試算。条件によって個人差がありますので、あくまでも概算となります。)。年間12万円の投資で24,000円のリターンが出る投資商品に置き換えると年利20%ということになりますから、税制メリットを享受するためだけでも加入する価値がありそうです。まだiDeCoに加入していない方は、自分に加入資格があるのか一度調べてみましょう。

ただし、iDeCoは原則60歳になるまでは引き出せませんので、それまでに使う可能性のある資金を預けることはお勧めできません。つみたてNISAであれば運用期間は20年までとなりますが、いつでも中途解約が可能です。所得控除はありませんが、運用益が非課税な点は同様で、流動性が高いのがメリットと言えます。制度をよく知り、上手に利用しましょう。

毎月積み立てのシミュレーションができるサイトなどもたくさんありますので、まずは運用の目標額を決め、人生の目標を達成するのに足りない額を補うためにはどれくらいの額をどれくらいのリターンで運用できればいいのかを試算してみましょう。運用だけで大きなリターンを狙うのではなく、自分の収入や配偶者の収入に加える収入の柱の一つと捉えるのがポイントです。

まとめ

30代、40代は老後を迎えるまでにまだ時間もありますので、お金という面で言えば、収入を増やしていくチャンスもまだまだありますし、お金の使い方を見直せば支出もトータルでかなり減らせるでしょう。そして、運用という面でも、長期分散投資で時間を味方につけることで、プラスのリターンを出せる確率も高くなります。まずは自分の現状を知り、使える制度を知ることから始めてみましょう。