投資信託(投信)を購入して分散投資を始めよう!と思ったものの、いざ購入しようと思っても商品がたくさんあり過ぎて決められない、興味を持った投信の概要などを見てもよく分からない!という方も多いと思います。

本コラムでは、投信を選ぶ際に知っておきたい基礎知識や商品購入の際のチェックポイントについてお伝えしていきます。

投信購入時にチェックしたいポイントとして次のようなものがあります。

  • 投資対象
  • 投資方針
  • コスト(買付手数料、信託報酬、信託財産留保額、成功報酬)
  • 為替ヘッジあり・なし
  • 決算頻度
  • 収益分配金あり・なし
  • 運用実績=運用期間
  • 運用総額
  • 資金流出入

第一回目の今回は、「投資対象」を取り上げたいと思います。

一口に投資信託と言っても、何に投資をしているかでリスクが全く異なりますので、まずはどのような資産に投資している投資信託なのかを確認しましょう。

投資対象の分類としては、【投資対象地域】と【投資対象資産】に大きく分かれます。

投資対象地域

投資対象地域としては、国内・海外・内外のいずれかに分類されます。

投資対象地域が「国内」であれば、日本国内の資産のみを投資対象としており、「内外」であれば、世界中の資産を投資対象としています。米国あるいは中国など一つの国を対象としたファンドや、アジア・ヨーロッパなどの地域を対象としたファンド、あるいは新興国などの特性で絞って投資するファンド、さらには全世界に投資するファンド等が含まれます。「海外」は「内外」から日本を除いたものです。

例えば、個別株で日本株を多く保有している投資家が、海外の資産も保有してバランスを取りたい、と考えた場合は、「内外」ではなく「海外」という投資対象のファンドを購入することで、バランスを取ることができます。

カリスマファンドマネージャーの藤野英人氏率いるレオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」は、一見日本株ファンドのようで、実は投資対象は「内外」となっています。

実際、藤野氏のメディア出演などで知名度も高く、好調な運用成績も相まって残高が急拡大し、現在では海外株式を1割強組み入れています。日本株ファンドだと思って購入した投資家も多いのではないでしょうか。資産配分などを細かく計算して購入している場合にはバランスが崩れてしまうこともありますので、購入時に投資対象地域をよく確認しましょう。

投資対象資産

次に、投資対象資産を見ていきましょう。

投資信託協会によると、投資対象資産は、株式・債券・不動産投信(リート)・その他資産・資産複合の5種類に分類されます。

株式

株式を投資対象としている投資信託は、銘柄を分散している分、個別株を購入するよりはリスクを抑えられますが、あくまでも株式で運用しているので、相対的にリスクが高いことに変わりはありません。

例えば、グロソブ(グローバルソブリンファンド:信用力の高い世界の先進国のソブリン債(国債や政府機関債等)に投資するファンド)の後に「グロソブより分配金が多い」と、多くの投資家がピクテのグローバル・インカム・ファンドを購入した時期がありましたが、同ファンドは株式に投資するファンドであり、債券に投資するグロソブとは全くリスクも異なる商品です。当時、そこを深く理解せずに、同じような感覚で購入していた投資家も多い印象を受けました。結果、リーマンショックでは、(グロソブより大きい)約4割の下落に見舞われています。「高配当」を期待できる「公益株」を中心に運用するというファンドで、株式全体の中では比較的変動の小さい株式群を投資対象としているのでしょうが、そもそも投資対象が株式であることを理解した上で投資したいところです。

債券

債券投資にも投資信託は有効です。

国債一つとっても、短期・中期・長期など様々な年限の国債がありますし、種類も一つではありません。社債にしても様々な格付けの発行体(会社)が多種多様な債券を発行しており、最低投資単位も100万円から、というものもあり、個人投資家が少額の資金で分散投資するのは難しいので、投資信託で債券に投資するのは良い方法と言えます。

債券を投資対象とするファンドの中には、高格付けの債券で安定的な運用をするものから、格付けが低い代わりに高い利回りが期待できるファンドまで様々なリスクのものがあります。海外の債券に投資するファンドの場合は、債券の値動きの他に、為替の変動リスクにも注意が必要です。

不動産投信(リート)

不動産投信(リート=REIT)を投資対象とするファンドは近年パフォーマンスも良く、その結果、非常に人気も高くなっています。インデックスファンドを除くファンドの純資産残高のランキングでも、上位5本中3本が米国REITに投資するファンドとなっています。ちなみに、投資先が米国REITに集中しているのは、そもそも全世界のREIT市場の6割を米国が占めているからです。

その他資産

その他資産には、原油や金などの商品に投資するファンドやヘッジファンドなどが含まれます。金への投資というと、コインや金地金、純金積立などで投資するというイメージがあるかと思いますが、現在では、金価格に連動する投資信託があり、手軽に投資できるようになっています。同様に、先物などでしか投資できなかった原油等の商品についても、その値動きに連動する投資信託などがあり、個人投資家にもより多くの資産への分散投資が可能となっています。ヘッジファンドについても、富裕層が大口でしか買えない資産というイメージがありましたが、最近では小口で手軽に投資できるヘッジファンドも多数販売されています。

資産複合

資産複合には、複数の資産に分散投資するバランス型のファンドなどが含まれます。

バランス型のファンドも「バランス」だからミドルリスク・ミドルリターンとは限らず、ハイリスク~ローリスクまで取れるリスクに応じて選べるようになっているシリーズ物の商品もありますし、徐々に低リスクの資産に入れ替えていく「ターゲットイヤー型」など多種多様な商品が存在します。

まとめ

投信の投資対象について見てきましたが、いかがでしたか?
基本のようで意外と見落としている方も多いのではないでしょうか。
投資対象地域×投資対象資産の組み合わせで自分に合ったリスク・リターンの投信を探してみましょう。

【ご注意事項】

投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。

投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客様が実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。

ご投資にあたっては、商品概要や目論見書をよくお読みください。

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