世界中で新型コロナウィルスの感染拡大が止まらず、日々不安なニュースばかりが流れています。先週(※3/26執筆時点)のNY株の週間下落率もリーマン・ショック直後の2008年10月以来の大きさとなりました。NYダウもわずか1か月あまりで約10,000ドルも下げるという異常事態です。すでに今回のコロナ・ショックは、リーマン・ショック級とも言われ、今後どうなるのか不透明な状況です。

株式などで短期売買をしている方はもちろん、将来のために積立で運用している投資家の中にも、自分の資産はどうなってしまうのかと不安に思われている方も多いかと思います。投資を始めたばかりの方は、これまで順調に増えてきていた資産評価額が、見たこともないくらいマイナスになって動揺している方もいるでしょう。4~5年前に投資を始めた方の中には、かろうじてプラス圏にある評価額が、マイナスになってしまう前に売っておいた方が良いのだろうか・・・と考えている方もいるかもしれません。

今回は、リーマン・ショック時のマーケットの動きを振り返りつつ、長期投資家は今どうすればよいのかをお伝えしていきたいと思います。

リーマン・ショック時との比較

今回の相場の動きを見ていると、リーマン・ショックを思い出します。

リーマン・ショックの際は、元々サブプライム問題でNYダウは前年ピークからすでに2割ほど下落を始めており、市場にも不穏なムードが漂っていました。投資家の保有資産も、その時点で損失あるいは含み益が残りわずかになっている状態でしたので、こんなに下がってからではもう売りづらい、もしかしたらここが底かもしれない…ということで売るに売れない状態で、きっと政府が救済策を出してサブプライム問題も解消するだろう、という希望的観測に皆がすがっているような状態でした。そこにリーマン・ショック(リーマンブラザーズ証券の破綻)が起こったのです。大手金融機関は絶対に潰れないと言われていたのに・・・!と市場は大パニックになり、当時のお客様からも「もう終わった」「これからどうなるの?」といった不安の声しか聞かれませんでした。実際、NYダウも14000ドル台をつけていた2007年の高値から半値以下の6000ドル台まで下がり続け、誰もが悲観の中にありました。

翻って、コロナ・ショックの現状を見てみましょう。

最初のうちは、中国の一部の話だと思って楽観視していたコロナ問題。徐々に感染が拡大する中で不安なムードもじわじわと広がり、2月下旬頃からマーケットの下落も始まりました。米欧諸国への感染拡大も広がり、政策待ちの下落相場となる中、3月16日にはFRBが1%の緊急利下げと量的緩和の復活を発表したにもかかわらず、その直後のNYダウは一日で3000ドル近い下げを記録、下げ幅は過去最大となりました。政策を次々に出しても下げ止まらないところもリーマン・ショックの時と似ています。

リーマン・ショックの時は、リーマンが破綻した2008年9月から大底を打った2009年3月までは5か月半下げ止まらないような状況でした。サブプライム問題で下げ始めた2007年10月頃から下げ相場が始まっていたと捉えれば、1年半近く下げが続いたことになります。今回のコロナ問題も、感染拡大が止まらず、経済活動の停止が続き、その実体経済への影響が今後明らかになってくれば、さらに下げが続く可能性もあります。

長期投資家はどうすればいい?

では、長期投資家はどうすればよいのでしょうか?

絶対にやってはいけないこと

まず、この相場で絶対にやってはいけないことは、慌てて売ったり、積立をストップすることです。積立を始めた時のことを思い出してみましょう。高い時には少なく、安い時には多く購入できるから、と積立を始めたのではなかったでしょうか?相場を見て売ったり買ったりしないために、定期・定額で投資できる積立を始めたのではありませんか?今こそ安く買える時なのに、ここでやめてしまっては積立投資のメリットが享受できません。こういう相場の時こそ、原点に戻り、自分の投資目的や投資方針を見つめ直しましょう。夜も眠れないほど怖いと感じるのであれば、ご自分の許容リスクよりも大きなリスクをとっていたのかもしれません。下がったところで安定運用に切り替えると、相場の戻りに置いて行かれるので、あまりお勧めはできませんが、いずれ相場が戻ったときに運用方針を変更することを考えてもよいでしょう。

買い増しする場合に気をつけること

では、この機会に買っていきたいという長期投資家はどうすればいいでしょうか。
気をつけるポイントは3つです。

  • 一度に全額を投資しないこと
  • 大底で買おうとしないこと
  • まだ下がると思って買うこと

まず、投資可能額を何回かに分けて投資することを決めましょう。そして、大底で買おうと思うのはやめましょう。まだ下がりそうだから、と大底を狙っていては、結局買えなかったということになりかねません。ここで買うけど、まだ下がるかもしれない、というくらいの気持ちで少しずつ打診買いして行くのが、結果的に安値圏で買える方法でしょう。いわゆる「買い下がり」です。「最安値」で買う必要はないのです。

また、急反発した日に、相場が底を打ったと早とちりして、慌てて全額を投資するのも危険です。上がると強気になり、「早く買わなければ」という気持ちになるかもしれませんが、分散して買うと一度決めたらそれを守りましょう。買い下がる中で、可能ならなるべく「下がっている日」に分散して買付を行うのがよいでしょう。

ちなみに、リーマン・ショックの際、NYダウが直前の高値を取り戻し、高値を更新するまでに要した時間は約5年半です。なるべく安値圏で仕込むことができたら、あとは相場の戻りをじっくり待ちましょう。それができるのが長期投資家の強みです。

なお、上記は「長期投資家」が1年以上先の投資成果を狙って投資する場合ですので、短期での投資成果を求める方にはまた異なる戦略があります。個別のご相談をされたい方はぜひ当社IFAにご相談ください。

最後に、相場格言を一つ。

「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」

これまでの相場が少し上がり過ぎていたとの見方もあります。
今はどの段階でしょうか。
恐れず、逃げず、冷静に動いた投資家が10年後に笑っているかもしれません。