当コラムでは株式の売買における、いわゆる「あるある」的な事象を紹介していきます。
これらは筆者が証券会社での営業を10数年経験し、1000人以上のお客様と取引をしていただいたなかで得た経験と、自らが株式売買において失敗を繰り返してきた経験に基づくものであり、当コラムをご覧いただいている方々の今後の投資における一助となれば幸いです。

前回、『損大利小』についてお話させていただきました。
今回はその逆、『損小利大』についてです。

日本における多くの個人投資家(90%程度)はトータルで負けていると言われています。裏を返せば10%程度の投資家はトータルで勝っているということになり、そのさらに数%程度の投資家が億の利益をあげる、いわゆる「億トレーダー(億トレ)」と言われています。勝っている投資家にも様々なトレードスタイルがあると思いますが、今回はその中で『損小利大』トレードについての考えをまとめてみました。

2人の投資家

次のような2人の投資家をイメージしてください。投資元本はそれぞれ100万円です。

<投資家A>

とにかく勝率重視。ちょこちょこと利益が出るが、たまに大きなマイナスが出てしまうのが悩み。よく株を塩漬けにしてしまう。

直近の投資成績(8勝2敗)
勝つときは1万円ずつ勝ち、負けるときは5万円負ける。

<投資家B>

データ重視。勝率よりもトータルでの損益を常に意識している。よく連敗が続いてしまい、メンタルがやられてしまいそうになるのが悩み。

直近の投資成績(2勝8敗)
勝つときは5万円勝ち、負けるときは1万円ずつ負ける。

このトレードスタイルを続けた結果、投資家AとBではどちらのほうがトータルで資産を増やせたでしょうか?

もうおわかりかと思いますが、答えは投資家Bです。
それぞれ、仮に100戦ずつトレードを行ったと仮定します。

投資家A(80勝20敗)
プラス金額 80万円
マイナス金額 100万円
トータル資産 80万円(元本100万+80万―100万)

投資家B(20勝80敗)
プラス金額 100万円
マイナス金額 80万円
トータル資産 120万円(元本100万+100万―80万)

期待値とトレード回数

重要なのは「期待値がプラスのトレード」を「マイルールに従って数多く取引を行う」ということです。

「期待値」については別コラムにて詳細はまとめますが、端的に言えば「ある手法を用いたトレードを複数回行い、利益確定やロスカットを繰り返し、トータルでは資産が増えている」トレードのことを【期待値がプラス】のトレードと言います。

反対に、「ある手法を用いたトレードを複数回行い、利益確定やロスカットを繰り返し、トータルでは資産が減っている」トレードは【期待値がマイナス】のトレードと言えます。

メンタルの重要性

さらにもう1つ重要な点として、【メンタルの強さ】が挙げられます。

「投資家Bのように期待値がプラスのトレードを行えば良いのか!」と株式投資をスタートしたとします。

いきなり8連敗、10連敗してしまったが、その次の取引で含み益が3万円になりました。この時、「とりあえず、一度は利益確定で終わりたい」「利食い千人力だ!」「当初目標のプラス5万まで行かずにロスカットラインまで反転してしまうかもしれない」などと色々と理由をつけてプラス3万円で利益確定をしてしまっては、トータルで資産を増やすことは難しいかもしれません。

言うは易く行うは難し。実際にトレードをしてみると『損小利大』トレードがいかにメンタル的に難しいかがご理解いただけると思います。

もちろん、何度も検証を行い期待値がプラスの手法を確立することやマイルールを守ることが重要な要素だと思いますが、『勝ち組トレーダー』になれるかどうかは、自らを最後まで信じ切れるかどうか、信じる能力があるかどうか、が重要なのかもしれません。