3月の投信パフォーマンスを検証する後編です。

前編はこちら↓

2020年3月の投信パフォーマンス

パフォーマンス上位は債券型か資産分散の安定型

次に、パフォーマンスが良かった銘柄を見ていきましょう。

以下の表は2020年3月の月間騰落率上位の銘柄リストです。

ほとんどの投信が大きなマイナスのパフォーマンスとなる中で、プラスリターンを出したファンドが4本。5位のファンドも0.1%のマイナスということで、下落をかなり小さく抑えています。

上位5銘柄は

  • 債券のみに投資するタイプ
  • 債券中心のバランス型タイプ

でした。

なお、繰り返しになりますが、純資産残高上位100位までを対象としたランキングですので、残高が101位以下でもっと良いパフォーマンスを出した銘柄も存在します。

パフォーマンス上位の債券型ファンドの特徴

投資対象が「外債」となっている3本は、ざっくり言うと信用力が高い世界の債券に投資する為替ヘッジ無しのファンドです。前半でも触れましたが、今回の下落局面では、ほとんどの通貨が対円で下落しましたが、米ドルは他通貨より下落幅も小さく、月末には月初とほぼ同水準まで戻していたため、米ドル建て資産についてはほとんど為替の影響を受けていません。逆に豪ドルや新興国通貨は下落が大きく、それらの通貨をどの程度組み入れていたかで明暗が分かれました。

3位のDCダイワ外国債券インデックスと4位の野村外国債券インデックスは、いずれもFTSE世界国債インデックス(※1)への連動を目指すインデックスファンドで、内容はほぼ同じです。組入れ資産のほとんどが欧米の主要国の国債で、ユーロも3月末時点では月初から1.6%程度の下げに止まっていたため、トータルで為替による影響が少なく、利息部分でかろうじてプラスのリターンになったと思われます。

(※1)FTSE世界国債インデックスとは…
先進国国債の動向を表す代表的な指数。
債券投資の際の主要なベンチマークとされており、多くのETF、投資信託がベンチマークとして採用しています。以前は米国の調査会社シティグループ・インデックスが算出しており、「シティ世界国債インデックス」の名称でしたが、2017年にロンドン証券取引所グループがシティの債券インデックス部門を買収したことにより、現在の名称に変更されました。(大和証券HP金融・証券用語解説より)

そして、今回パフォーマンス首位となった三菱UFJグローバル・ボンドは、インデックスではなく、機動的に投資対象国を入れ替えて、相対的に高い利回りを取っていくファンドです。このファンドは、3月8日の時点でそれまで投資対象としていたオーストラリアをシンガポールに入れ替え、米国とシンガポールの2か国を投資対象とするポートフォリオに変更しています。シンガポールドルが最も下落したのが3月9日、豪ドルが最も下落したのが3月19日でしたので、入れ替えのタイミングも好パフォーマンスに貢献した可能性があります。

ちなみに、現在の三菱UFJグローバル・ボンドの組入れ通貨比率はがらりと入れ替わっています。3月末時点で7割弱を振り向けていた米ドルへの配分を、5月12日時点ですべてオーストラリアドルに入れ替え、現在の投資比率はオーストラリアドル約7割、シンガポールドル約3割という比率になっています。(信用力が高い国の中でも)相対的に利回りの高い国の債券を選んで投資するという方針のもとでの入れ替えであり、為替差益を狙ったものではないようですが、その時点から現在まで豪ドルレートは対円で上昇しており、為替面でも順調な推移となっています。

「たまたま米ドル債に投資するタイプだったからパフォーマンスが良かった」というわけではなく、相場の環境に応じて銘柄を入れ替えた結果のパフォーマンスだったようです。

パフォーマンス上位のバランス型ファンドの特徴

上位5銘柄にランクインした2本のバランス型ファンドはいずれもアセットマネジメントOneが運用するファンドでしたが、この2本の特徴はコロナショック前に安定資産と現金等の比率を高めていたことです。

両ファンドからは、3月13日付で臨時の運用状況レポートが出ており、「2月25日から3月3日にかけて段階的にリスク性資産の組入比率を引き下げ」ていたと記載されています(リスク性資産の詳細については、以下の【図3】参照)。また、3月3日時点のリスク性資産への配分比率は、「投資のソムリエ」においては2.6%、「リスク抑制世界8資産バランスファンド」は1.9%と非常に低くなっていたとのことです。さらに、現金等の比率も高めており、同日時点で「投資のソムリエ」は22.1%、「リスク抑制世界8資産バランスファンド」は24.0%となっていました。現在のゼロ金利下での現金は、リターンゼロ資産ですので、かなり思い切った配分と言えると思いますが、それが功を奏した形です。

いずれのファンドも、近年各資産クラスの相関性が高まっている(特に危機時の動きを指しているものと思われます)ことを受け、どのような局面でも安定したリターンを出すという目的で設定されたファンドで、内容もかなり似ていたので、一覧で比較してみました。

このように見ると、「リスク抑制世界8資産バランスファンド」の方が、よりリスクを抑えた運用となっているのが分かります。その分リターンも控えめにはなりますが、コストを抑えるなどの工夫がされています。分配方針などから見ても、取り崩しながら運用する年金世代向けのファンドと言えるかもしれません。

同じ運用会社で、かなり似ている2ファンドですが、求めるリスク・リターンによって使い分けることができそうです。ゼロ金利下において、これまでの債券型投信や債券そのものへの投資に代わるファンドと位置付けられるのではないでしょうか。

危機時に見る自分のリスク許容度

さて、ここまで、3月の投信パフォーマンスについてまとめてきましたが、上位銘柄が良い銘柄なので買いましょうという話ではありません。今回の大きな下落の中で、資産がどんどん減っていくのが怖くて夜も眠れなかった、もう投資をやめてしまおうと思った(あるいはやめてしまった)という方にとっては、上位の銘柄は魅力的に見えたかもしれません。このような大きな相場下落時に強いのは「リスクを抑えた運用」をしている銘柄です。これらのファンドは、逆に大きく相場が上昇する時にはそれほど上がりません。下振れが小さいものは上振れも小さいのです。「危機時にはリスクを抑え、上がった時には大きく儲けたい」と思っているうちは、投資に失敗する恐れがあります。積立で時間分散をする、リスクを抑えた運用する部分(コア)とリスクを取ってリターンを狙う部分(サテライト)に分けて投資をする、などやり方は色々ありますが、1本のファンドに全てを求めるのは難しいでしょう。⇒「コア・サテライト戦略

逆に、上位銘柄のリターンを見て「たった2%か」と思った方、下位銘柄を見て「今これを買えば儲かるのかな?」と思った方、自分の資産は下がっているけれど「チャンスだから買い増ししようかな?」と思った方、こういった方はリスク許容度が高い傾向があります。そういった方は上手にリスクを取りながらより高いリターンを目指す運用を考えていきましょう。

まとめ

コロナショック時の投信のパフォーマンスを見てきましたが、いかがでしたか?

同カテゴリでも上位に入った銘柄にはきちんと理由があったように思います。危機時に自分の資産を守ってくれる商品を探していくヒントにしていただくと同時に、平時の動きにも思いを馳せ、ご自分に合った運用を見つけていただければ幸いです。

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