コロナショックに見舞われた3月。株式・債券・金などあらゆる資産が投げ売りされ、株式と債券の逆相関も一時的に崩れたということは前回コラムでお伝えしました。
「コロナショックで崩れた逆相関、分散投資は無意味?!」
安定資産である債券も売られたことから、特に安定運用の分散投資をしていた投資家はヒヤッとしたのではないでしょうか?
このパニック相場で、投信はどのような動きを見せたのでしょうか?
今回は、2020年3月期の投信のパフォーマンス上位と下位の銘柄を取り上げて検証しつつ、あらためて自分に合った投信選びについて考えてみたいと思います。

2020年3月の投信パフォーマンス

下落が大きかったファンド

以下の表は2020年3月の月間騰落率下位の銘柄リストです。

【図1】投信の2020年3月の月間パフォーマンス下位銘柄(公募追加型株式投資信託の残高上位100本、ETF除く(出所:BIG TREEにて作成)

※なお、本ランキングは、純資産残高上位100本の中でのランキングですので、もっと下落したファンドも世の中には存在するかと思います。保有している方が多いファンドの中での騰落率ランキング、というイメージでお読みいただければと思います。
3月はほぼすべての資産が下落したので、分散投資をしていたファンドも軒並み下落したのですが、その中でも下げが大きかったファンドの投資対象が

  • オーストラリア高配当株
  • インド株
  • ワールドREIT

の3カテゴリとなりました。

オーストラリア高配当株の下落要因

まず、下落率トップ1,2位だったのがオーストラリアの高配当株に投資するファンド2本です(高配当株の中にはREITも含まれます。)。この2本のファンドが大きく下落したのは、株式×為替がダブルで下落したことによるものです。
市場をコロナショックが襲った3月中旬のオーストラリア株式の下げ幅は、米国株や日本株と同程度だったものの、月末にかけての戻りが他市場より鈍かったために、他の株式資産よりも悪いパフォーマンスとなりました。
為替についても、月中の最大15%程度の下げからは戻したものの、月末時点で月初より7%近い下落のまま終わったため、下げの要因となりました。
結果的に、外国株式への投資が、株式と為替のダブルのリスクがあるハイリスクの投資であることを体現したような動きになっています。

インド株ファンドの下落要因

下落率3位の「野村インド株投資」のパフォーマンスについては、単純にインド株の大幅な下落によるものと思われます。為替も月初から月末にかけて4%ほど下落していますが、インドのSENSEX指数が3月は25%近い下落となっていることが最大の要因と思われます。
ちなみに、純資産残高100位までに入っているインド株投信はこの一本だけとなります。

世界REITファンドの下落要因

残る2本は、世界のREITに投資するファンドでした。3月は世界的にREITの下落率が株式よりも大きかったために、これらのファンドも下落率上位にランクインしたものと思われます。純資産残高トップ100にはUS-REITやJ-REITファンドも多く入っており、それらのファンドも世界的なREITの下落を受けて2割程度下げていますが、その中でも特にこの2本の下落率が大きかったのは、大きく売られた豪ドル建ての資産が入っていたためと思われます。今回のパニック相場で、米ドルも一旦は売られたもののすぐに買い戻しが入り、月初から月末にかけてのドル円相場はほとんど変わらずでした。
5位のDIAM世界リートインデックスは、S&P 先進国 REITインデックスに連動した運用を目指インデックスファンドです。こちらも、ややベンチマークを下回っているのですが、4位のワールド・リート・オープンとの差は、ワールド・リート・オープンがポートフォリオにREITの中でも下落の大きかった小売りセクターを多く組み入れていたためと思われます。小売りセクターは元々リスクがやや高いため、その分リターンも大きく、より高い分配金を狙った結果、下げも大きくなってしまったということでしょう。このように同じREITファンドであっても、投資戦略などによりパフォーマンスに差が出ることもあります。銘柄選びの際に注意してみると良いでしょう。

次回は、成績の良かったファンドについて見ていきます。【後編に続く】

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