1. 金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」

4月24日に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が開催されました。今回は、この内容のエッセンスをお伝えします。

審議会では、IFAの育成や普及を支援する必要性が指摘されました。

既存の金融機関の顧客本位運営にはまだまだ改善の余地があり、特定の金融機関に縛られないIFAの存在意義は大きいとみているためです。

しかし、現状では顧客のIFAの利用が限られていることから、IFAの底上げなど総合的な対応が必要であり、IFAの育成や普及の方策として金融庁がIFAの定義づけを行うことやIFAが顧客本位であるために「自主規制協会」を設立することが望ましいとの意見が出ています。

 

2.IFAのビジネスモデル

IFAのビジネスモデルを簡単におさらいします。

IFAは証券会社の委託を受けて、証券会社が取り扱う金融商品を顧客に仲介を行います。

また、顧客のライフステージに応じ、資産計画の策定や資産関連の総合的なアドバイスを行い、顧客の金融商品売買の実行支援も実施します。

 

3.IFAに関する調査概要

金融庁が預かり資産残高の大きいIFA10社を抽出し、調査を実施しています。

10社の中でも、手数料収入、預り資産残高、顧客数、所属外務員数の規模等に各社で大きな差があることがわかりました。

また、本店所在地は関東の業者が過半を占めるものの、東海・北陸・近畿・中国の各地域にも預り資産の大きな業者が存在しており、10社中6社が複数の証券会社と契約していることも判明しています。

 

4.収支の状況

10社の手数料収入の推移は、平成27年度から平成29年度で倍増し、直近の決算期における手数料収入の状況は、金融商品仲介収益が86.5%、保険販売収益が9.6%でした。

支出の内訳では、人件費が61.8%で他にオフィス賃料、広告宣伝費等です。

なお、平成25年度から平成29年度において、27年度を除き過半の業者が黒字経営でした。

 

5.預り資産の状況

預り資産残高の合計をみると、直近時点(平成30年12月末)で3,520億円で、平成28年3月期に比べ2倍程度の増加であり、1社平均は350億円程度です。内訳は投信が38.6%、

株式が25.5%を占めており、最近はラップの割合も増加しています。

なお、個社の預り残高の分布をみると、投信のみの業者、ラップを取扱い株式の割合が小さい業者や逆に株式の割合が大きい業者があるなど、分布状況は様々であることが分かっています。

 

次回のコラムでは、今回の続きとして、金融審議会「市場ワーキング・グループ」で示された資産残高の大きいIFA10社の預り資産の年代別内訳や所属外務員の状況等をお伝えします。