1.金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」

本年、4月24日に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が開催されました。
今回は、ここで示された資産残高の大きいIFA10社の現状について、前編に続きその一部をご紹介させていただきます。
認知度が高まってきたIFAの現状をご理解いただく一助になれば幸いです。

2.年代別預り資産の状況

年齢別預り資産の内訳を見ると、50代までは投信・債券の保有が過半を占める一方、60代以降では株式の割合が大きく増加し、4分の1以上を占めています。
30代と40代の投信の保有比率が6割を超えていることも特徴的です。

3.投資信託の平均保有期間

預り資産残高のうち、投資信託の平均保有期間の推移をみると、平成29年度における10社の中央値は5.7年と主要行等、地域銀行及び主要証券といった販売会社に比べると長期であるといえます。
しかし各社別に見れば、2年に満たない業者から10年を超える業者まで存在しています。
なお、平成30年9月公表の金融庁資料には、投資信託の平均保有期間は、主要行等で2.4年、地域銀行で2.5年、主要証券で2.4年であることが記載されています。

4.顧客数の推移

口座ベースの顧客数の推移をみると、各年代で大きな偏りなく増加しており、その年齢別の割合は、平成30年12月末で、30代以下が24.3%、40代が23.5%、50代が19.5%、60代以上が32.4%になっています。
したがって、7割弱が50代以下の資産形成層という状況です。

5.各社の顧客年齢構成

各社の顧客年齢構成をみると、60代以降の顧客が過半を占める業者がある一方、顧客の多くが50代までの資産形成層という業者まで各社の状況は様々であるという調査結果となっています。

ちなみに、50代以下が最も少ない業者でその割合は41.3%であるのに対し、50代以下が最も多い業者ではその割合が9割を超えるなど大きな違いが出ています。

6.所属外務員の状況

顧客数・預かり資産残高と同様に、所属外務員数についても増加傾向であることがわかりました。外務員数の合計数は、平成27年3月末の198人が平成30年12月末には365人に増加しています。

所属外務員の契約形態では、主として固定給の正社員からなる業者、歩合給の業務委託社員からなる業者、その双方が混在する業者など様々であり、所属外務員の前職をみると、全体の6割強が証券会社出身で、保険や銀行、その他業種からの転職者も一定数存在することもわかりました。

7.経営課題

経営課題として以下の内容が示されています。

・預り資産残高に基づく手数料サービスに向けた社内システムや人材対応
・預り資産の拡大が収益の安定化につながるストックビジネスへのシフト
・資産形成層のみならず、保険や不動産等を含めた顧客資産の包括的アドバイスの質的向上
・顧客の高齢化に対処するためのカウンセリング力の強化
・慢性的な人手不足にあるバックオフィス要因の確保
・創業者色を払底し、属人的なセミナーの質を落とさず画一化・均一化させていくこと
・超富裕層顧客に対する質的なサービスの向上を目的とした新商品の取扱いの検討
・人材育成のため、人材教育プログラムの開発

8.まとめ

前編後編に分けて、4月24日付金融審議会「市場ワーキング・グループ」にて取り上げられたIFAの現状分析を紹介しました。
業界全体が発展途上であり、今後は主要10社の顔触れもその平均像も大きく変化する可能性があります。しかし、それぞれのIFAが顧客本位の業務運営に邁進することで、業界全体として顧客からの信頼度が向上し、ビジネス上の成長スピードも高まっていくに違いありません。今後のIFAのさらなる認知度の高まりに期待したいところです。