IFAに相談したいけど、どうやってIFAを選んだらよいか分からない…そう考えている方も多いのではないでしょうか。そんな方のために、様々な切り口からIFA業界を知っていただき、自分に合ったIFAの選び方を考えてみたいと思います。

初回は、IFA業界の仕組みや現状をお伝えしていきたいと思います。まだ歴史の浅い日本のIFA業界ですが、業界の全貌を知ることで、IFA選びのヒントが見つかるかもしれません。

IFA業界の仕組み

まず、IFA業界の仕組みを確認しましょう。このコラムをご覧の方は、IFAが「Independent Financial Advisor」の略称で「独立系ファイナンシャルアドバイザー」であるということはご存じかもしれません。従来の大手証券会社等の所属組織から独立して中立的立場でアドバイスするのがIFAです。IFAとして活動するためには、内閣総理大臣に「金融商品仲介業者」として登録するか、金融商品仲介業者として登録している法人(IFA法人)に所属する必要があります。金融商品仲介業者はさらに「金融商品取引業者」(SBI証券や楽天証券等の証券会社)に所属しなければなりません。「所属」と言っても複数の金融商品取引業者に所属することができますので、どちらかというと「契約」というイメージに近いかと思います。図にすると以下のような仕組みです。

【図1】IFA業界の仕組み(出所:BIG TREEにて作成)

一口にIFAと言っても、IFA法人に所属しているIFAと個人で開業しているIFAがいることが分かると思います。この辺りは、弁護士や税理士のような士業のイメージと似ています。一人で事務所を構えている先生もいれば、大勢の先生が所属する大手事務所もあるのと同じです。ちなみに、2021年9月30日現在、金融商品仲介業者として登録されている業者は855あり、そのうち231が個人での登録となっています。

IFA数の推移

次にIFAの人数を見てみましょう。近年その数は着実に増加しています。

【図2】IFA数の推移(金融庁公表データおよび日本証券業協会公表データよりBIG TREEにて作成)

上記登録外務員数には個人のIFAもIFA法人に所属するIFAも含まれます(緑の棒グラフ・左軸)。参考として、証券会社に所属する外務員の数をオレンジの折れ線で示しています(右軸)。こちらは横ばいからここ数年は緩やかに減少していますが、絶対数としてはまだ圧倒的に証券会社の外務員の方が多くなっています。

次に、それぞれの組織の役割などを見ていきましょう。

金融商品取引業者(証券会社等)

お客様が直接口座を開設し、取引するのが、金融商品取引業者と呼ばれる証券会社になります。金融商品取引業者は、お客様に対しては、商品の品揃えや取引のしやすさなどのサービスを充実させていますが、同時にIFAに対しても様々なサービスを提供しています。そのような観点から、こうした金融商品取引業者を営業のためのプラットフォームを提供する「プラットフォーマー」と呼ぶこともあります。前述の通り、IFA(法人)は複数の金融商品取引業者に所属することもできます。

プラットフォーマーとしての金融商品取引業者の役割には次のようなものがあります。

  • 商品提供
    とにかく幅広い取扱商品を誇る業者もあれば、自社でセレクトした商品を提供する業者、債券に強い業者などの違いがあります。IFAを選ぶ際には、取引したいIFAが所属している証券会社が、投資したい商品を取り扱っているかをあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
  • 業務サポート
    営業支援ツールなどが充実していたり、自己啓発をサポートしてくれたりと各社違いがあります。こうしたサポートが充実していることで、小規模IFA法人でも大手IFA法人や大手証券と遜色ないサービスをお客様に提供することが可能になります。
  • IFAの指導・監督
    最後に、金融商品取引業者の重要な役割として、所属仲介業者(IFA)の指導・監督があります。もし所属IFAが顧客に法令違反行為による損害を与えた場合、金融商品取引業者はその損失を補填する責任があります。ですから、所属IFAに対してはきちんとした業者であるかの審査を行ったうえで契約し、その後も継続的に適切な業務運営が行われているかのチェックやコンプライアンス支援が行われます。

金融先進国の米国ではこうしたプラットフォーマーを評価する仕組みもあり、プラットフォーマー間の競争も存在するようです。日本でもプラットフォーマーのサービス向上により今後ますますIFAからお客様へのサービスも向上していく可能性があります。

IFA法人

IFAにとってのIFA法人は、いわゆる直接的な勤務先、といったところです。IFA法人はまだ歴史が浅いため、小規模業者が多数を占める一方で、数十名~百名超のIFAを抱え、全国に支店を構える大手IFA法人も出てきています。今年IFA法人として初の上場を果たした株式会社アイ・パートナーズフィナンシャルなどがその代表です。また、ここ数年でも大手証券会社を飛び出してIFA法人を立ち上げる動きも活発になっており、その拡大と多様化は進むばかりです。IFA法人について詳しくは次回以降別のコラムで触れていきたいと思います。

IFA周辺業界の発展

IFA業界の発展とともにその周辺にも新しいビジネスが立ち上がってきています。

IFAの転職をあっせんする企業、IFA比較サイト、IFA向けメディア、IFA向けに営業支援ツールを開発する企業等々です。これらは、今後IFA業界が拡大することを見越して参入してきているわけですが、こうした周辺業界とともにIFAの認知が進み、業界全体として発展していくことが期待されます。

まとめ

IFA業界について見てきましたが、いかがでしたか?分からないことの多いIFA業界ですが、仕組みが分かるとIFA選びの際にも役立つと思います。取引したいと思っているIFAがどのIFA法人、どの証券会社に所属していて、どのような特徴があるのか、注目してみてはいかがでしょうか。

次回は、IFA法人の違いや特徴について見ていきたいと思います。

IFAの選び方②IFAの雇用形態による違い

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