投資信託(投信)を購入して分散投資を始めよう!と思ったものの、いざ購入しようと思っても商品がたくさんあり過ぎて決められない、興味を持った投信の概要などを見てもよく分からない!という方も多いと思います。

本コラムでは、投信を選ぶ際に知っておきたい基礎知識や商品購入の際のチェックポイントについてお伝えしていきます。

第2回目は、投資方針について取り上げます。

投信の投資方針は、インデックス運用かアクティブ運用かに分けられます。

インデックス運用とアクティブ運用とは?

インデックスファンドという言葉はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?インデックスファンドは、ベンチマークと呼ばれる指数(例えば日経平均株価など)に連動するような動きを目指す運用方針で運用される投信のことです。こういった運用方針をインデックス運用(またはパッシブ運用)と言います。
インデックス運用では、機械的に指数と同じ銘柄に同じ割合で投資していきますので、リサーチ等に費用が掛からず、コストは安くなります。近年はインデックスファンドの手数料引き下げ競争が激しく、年々コストは低くなっていっている印象です。

一方、ベンチマークを上回る運用を目指すのが「アクティブ運用」です。

アクティブ運用では、ベンチマークを上回るために、ファンドマネージャーや調査チームが企業訪問をしたり、アナリストが経済動向や業界研究を行うことで、優れた投資先を見つけ出して投資します。このため、人件費がかかり、コストは高くなります。

意外に広いアクティブファンドの範囲

「アクティブ」というとその言葉通り、「積極的に」値上がりを狙っていくイメージかもしれませんが、意外にアクティブファンドの幅は広く、第1回でも触れたピクテのグローバルインカムファンドは、高配当の公益株などに投資して、安定的に分配金を出すことを目指すファンドですが、指数連動を目指していないので、アクティブファンドに分類されます。

また、「積立王子」として注目されている中野晴啓氏が立ち上げた「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は、インデックスファンドを組み合わせたファンド・オブ・ファンズですが、中野氏は、「(インデックスファンドの)組み合わせ方に運用者の趣向を凝らしている」と述べており、その点からこのファンドはアクティブファンドであるとしています。

ガツガツと値上がり益を追求するファンドだけがアクティブファンドというわけではない点には注意が必要です。

アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない?

「アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない」という議論があります。長く読み継がれる投資の名著、『ウォール街のランダムウォーカー』(バートン・マルキール)と『敗者のゲーム』(チャールズ・エリス)では、歴史的に、ほとんどのアクティブファンドが市場平均に勝てていないことをたくさんのデータや事例から立証し、インデックスファンドへの投資を勧めています。市場を出し抜こうとするのではなく、ただインデックスファンドに投資を行うことが、労力もかけず、神経もすり減らすことなく資産を増やす唯一の方法であると彼らは結論づけています。

実際に、インデックスファンドとさほど変わらない値動きのアクティブファンドが多く存在するのも事実です(インデックスを下回ってしまうのは論外ですが…)。高いコストを支払ってインデックス程度のリターンであれば、わざわざ買う気にならないというのも当然でしょう。

アクティブファンドには投資しない方がいいの?

では、アクティブファンドには投資しない方が良いのでしょうか。

アクティブファンドがインデックスファンドに勝てないという議論がある一方で、インデックスファンドは指数を構成するすべての銘柄を組み入れなくてはならないので、その中には業績不振の企業や経営陣に問題があるような企業の株式も含まれてきてしまい、運用として非効率なのではないかという意見もあります。

また、前出の書籍でも、歴史的にほとんどのアクティブファンドマネージャーが市場平均に勝てていない、とは言っていますが、全てのとは言っておらず、実際、市場平均より高いリターンを出してきたファンドマネージャーも存在します。

その最も良い例が、アメリカの投資家ウォーレン・バフェットです。ウォーレン・バフェットは、自身が会長を務めるアメリカ最大の投資持ち株会社バークシャー・ハサウェイを通じて優良企業への投資を行っています。個人投資家は、このバークシャー・ハサウェイの株式を購入することで投資を行います。ウォーレン・バフェットが毎年公表している「株主への手紙」によると、1965年~2019年までの同社株の複利でのリターンは、S&Pの年利10.0%に対し、20.3%にもなるそうです。これは、当初1ドル投資した場合、この54年間で2,744,062ドル(1ドル105円として約2億8千万円!)になる計算です。同期間、S&Pに当初1ドル投資していた場合のリターンは19,784ドル(同2,100万円弱)ですから、完全に市場平均を上回っています。

つまり、数多くのアクティブファンドの中からインデックスに勝てる優れたファンドを探し出すことが重要であり、アクティブファンドすべてが悪い、というわけではないのです。

まとめ

インデックスファンドとアクティブファンドについて見てきましたが、いかがでしたか?

コストの安いインデックスファンドで市場の成長を取りに行くのか、優れたアクティブファンドを探して市場平均以上を狙っていくのか。0か100でなく、全体のバランスの中で自分に合ったスタイルを見つけていきたいですね。

【ご注意事項】
投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客様が実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
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