IFA(Independent Financial Advisor)の存在がじわじわと知られるようになり、お金の相談先の一つとして検討する方も増えてきました。そこで、まだあまり知られていないIFAについての疑問にお答えしていきたいと思います。今回は「IFA法人がつぶれたらどうなる?!」というテーマです。
小規模法人の多いIFA
IFAに資産運用の相談をしたいと思った時、「相談しているIFA法人が倒産してしまったらどうなるのだろう」という不安を持つ方も多いのではないでしょうか。「中立的なアドバイスができる」「転勤がないので、長いお付き合いができる」等メリットも多いIFAですが、その一方で、「会社としての規模が小さい」ということをデメリットと感じる方も多いかもしれません。
お金の相談先としてまず検討される金融機関と言えば、駅前に立派な店舗を構える銀行や大手証券会社でしょうか。それらの金融機関であれば、知名度や社会的信用度も申し分ないでしょう。それに比べると、IFA法人は小さい規模の法人が多く、「アドバイザーは信頼できる人だけど、会社は大丈夫かしら?」と不安に思う方も多いでしょう。しかし、万が一IFA法人が潰れてもお客様のご資産は守られる仕組みになっています。
金融商品仲介業のしくみ
IFA法人は、金融商品仲介業者と呼ばれ、お客様と提携先の証券会社(金融商品取引業者)の間に立ち、口座開設の申し込みの受付や、金融商品の運用アドバイスなどを行いますが、お客様が口座を開設し、資産を預けるのは提携先の証券会社となります。つまり、IFA法人はアドバイスを提供しているだけでお客様のご資産を預かって運用しているというわけではないので、万が一IFA法人が潰れるようなことがあっても、提携証券会社に預けているお客様の資産には影響はないのです。
【図1】金融商品仲介業の仕組み(出所:BIG TREEにて作成)
分別保管のしくみ
では、提携証券会社(図1でいう「金融商品取引業者」)が潰れてしまったらどうなるのでしょうか。こちらも、証券会社は、法令により、顧客の資産を自己の資産と分別して管理すること(=「分別保管」)が求められているため、万一提携している証券会社が潰れてしまっても、預けている資産は守られる仕組みになっています。詳しくは、日本証券業協会の出している「金融商品取引業者等の分別管理Q&A」をご覧ください。
ただし無資格の悪徳業者には要注意
このように、IFA法人(金融商品仲介業者)や提携証券会社(金融商品取引業者)に万が一のことがあっても、お客様の資産は守られるようになっているのですが、注意しなければいけないのは、契約した法人が、無資格の悪徳業者だった場合です。金融商品仲介業や金融商品取引業を行うには金融庁への登録が必要で、登録のためには、こうした業務を適切に行える業者であるかの審査があります。実は、このような登録を行わず業務を行っている業者が多く存在しています。金融商品の取引においてお客様の資産を守る仕組みができていても、そもそもその仕組みの枠の外で営業している業者と取引をしてしまうと、大切な資産を守ることはできません。
そうした業者の多くは低いリスクで高いリターンが取れるなどと勧誘してくることも多いですが、投資の世界にローリスクハイリターンなどありえないので、そのような業者に騙されないためにも、基本的な金融知識は身に付けておきたいものです。
まずは資格を確認しましょう
登録業者は登録番号(例:「関東財務局長(金商)第〇号」など)を付されており、通常はHPなどで公表していますので、確認してみましょう。また、金融庁は、登録を行っている業者の一覧を公表していますので、勧誘を受けた業者がリストに載っているかも確認してみましょう。
■金融庁>金融機関情報>全金融機関共通>免許・許可・登録等を受けている業者一覧>金融商品取引業者等>金融商品仲介業者
【金融商品仲介業者登録一覧】
⇒https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/chuukai.pdf
さらに、「無登録で金融商品取引業を行っているとして、金融庁(財務局)が警告書の発出を行った者の名称等」も金融庁HPにて確認できます。怪しいと思ったら確認してみましょう。
■金融庁>投資勧誘等にご注意ください!
【無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について】
⇒https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/mutouroku.html
その他の注意点
また、その他の注意点として、金融商品仲介業者は、お客様から直接、金銭や有価証券のお預かりをすることはありません(かかる行為は金融商品取引法で禁止されています。)。ですので、仲介業者から直接金銭の授受を行うよう持ちかけられた場合はこれに応じず、提携の証券会社に確認する等の対応をとりましょう。
まとめ
いかがでしたか?少し怖い話もありましたが、業者選びのチェックポイントを押さえ、きちんとした業者を選べば、小規模法人であっても大事な資産を守る仕組みがしっかりとできていることがご理解いただけたと思います。ご自分に合ったIFAを安心して選ぶご参考になれば幸いです。