前回まで分散投資のメリットについてお話してきました。
分散投資のメリット①
分散投資のメリット②

今回から具体的な分散投資の方法、投資先を考える際に必要な知識について解説していきます。

どのような資産に分散するか

「分散」と言っても、ただ数多くの資産に投資すればいいというわけではありません。せっかく複数の資産に分散投資しても、それらの資産が同じ動きをしてしまっては分散投資の効果は薄れてしまいます。

そこで考えたいのがそれぞれの資産の「相関関係」です。

投資における「相関関係」とは二つの資産の関連性のことで、「相関係数」を使って表すことができます。

相関係数とは

相関係数とは、ある2つの資産の値動きの関係性(連動性)を数値化したもので、+1 から -1 までの範囲で表されます。数値が1に近いほど連動性が高く、-1に近いほど逆の値動きをする傾向があります。数値が0近辺の場合には、値動きに連動性がない(無関係)ということになります。

以下の図は直近10年間(左下部分は過去3年間)の各資産クラス間の相関係数を一覧にしたものです。

(出所:J.P.Morgan Asset Management 「Guide to the Markets Japan | 2Q 2019 | As of March31, 2019」より抜粋)

上記の図から、株式との分散効果が高そうな資産について見ていきましょう。

債券

一般的に株式と債券は逆の動きをする(株が上がると債券は下がる)と言われていますが、上の図を見ると、同じ債券でも米国ハイイールド債や新興国国債は債券というより株式に近い動きをしていること、同じ新興国国債でも米ドル建てと現地通貨建てでは現地通貨建ての方がより株式に動きが近いことが分かります。トルコリラ建ての債券で多くの投資家が大きな損失を被ったのも記憶に新しいように、新興国に投資する場合は投資先が債券であっても、為替変動の影響が大きく、債券というより通貨に投資するようなイメージで、株式との分散効果はあまり期待できないと言えるでしょう。

上の図を見ると、日本国債と米国10年国債において逆相関を示す赤字での表示が目立ちますので、この二つの資産の分散投資効果が高いような気がしますが、米国10年国債に関しては米ドル建ての評価となりますので、株価が暴落する局面ではドルも対円で下落する(円高ドル安)ことが多く、結局円換算すると資産価値は下落している可能性が高くなります。したがって、真に分散効果が得られる資産ということでは日本国債に軍配が上がるでしょう。ただ、日本国債は長らく低金利が続いていますので、組み入れ比率を高くし過ぎるとトータルリターンは低くなってしまいます。ご自分のリスク許容度に照らして配分を考えることが重要です。

ここには掲載されていませんが、「有事の金」などと言われるように、戦争が起こったり、景気が悪い時などは金の価格が上がることが多く、こちらも分散投資効果は高いと言えるでしょう。金は実物を購入する以外に、ETFなどで小額から投資することもできます。

J-REIT

J-REITは国内で上場している不動産投資法人のことですが、簡単に言うと小額から不動産に投資できる仕組みと言えます。証券取引所に上場し、株式同様に売買できるためか、過去10年の相関係数を見ると、比較的株式との連動性が高くなっています。しかし、以前にも引用した以下の資産クラス別リターンを見てみると、近年日本株式とJ-REIT(国内REIT)は逆相関の動きをしていることが分かります。

(出典:モーニングスター社Webサイト「資産クラス別リターン(円換算あり)」)

このことから、分散投資効果に期待してポートフォリオに積極的にJ-REITを組み入れる投資家も出てきているようです。

このように、各資産の相関関係に注目して、分散投資効果の高いポートフォリオを目指しましょう。