当コラムでは株式の売買における、いわゆる「あるある」的な事象を紹介していきます。
これらは筆者が証券会社での営業を10数年経験し、1000人以上のお客様が取引をしていただいたなかで得た経験と、自らが株式売買において失敗を繰り返してきた経験に基づくものであり、当コラムをご覧いただいている方々の今後の投資における一助となれば幸いです。
<過去のコラムはこちら>
株式投資コラム①『損小利大』・『損大利小』あなたはどっち!?(前編)
株式投資コラム②『損小利大』・『損大利小』あなたはどっち!?(後編)
株式投資コラム③ファンダ派?テクニカル派?あなたはどっち?(前編)
株式投資コラム④ファンダ派?テクニカル派?あなたはどっち?(後編)
株式投資コラム⑤順張りトレードのメリットとデメリット
株式投資コラム⑥逆張りトレードのメリットとデメリット
株式投信コラム⑦テンバガー株の見つけ方
株式投資コラム⑧株式売却のタイミングは難しい!?
株式投資コラム⑨仕手株とは?
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株式投資コラム第10回目は「相場の格言」についてです。
株式投資を実践するにあたって「相場の格言」について知っておくことは非常に重要です。「相場の格言」には相場に対する心構えや投資家心理を反映しているものが多く、投資判断に迷った時に参考にするのも1つの選択肢でしょう。
『株式 格言』や『相場 格言』でネット検索すると数多くのサイトがヒットします。
その中から筆者の10年以上にわたる株式投資経験において特に『これは重要だ!』と思える格言を実際の経験に基づいて紹介します。
人の行く 裏に道あり 花の山
最も有名な「相場の格言」ではないでしょうか。
しかし、多くの人が『知っている』格言ではあるものの、実際に『行動している』投資家は少ないかもしれません。
一般的に人は一人よりも大勢で行動するほうが安心感を得やすいと言われています。
(例)ゴールがこの先にあるかどうか誰もわからない左右分岐点に差し掛かった際に、100人中95人が右に集団で向かおうとしています。4人は左へ向かおうとしています。あなたはどちらへ進みますか?
『安心感』を得られるのは右へ向かうほうだと思います。しかし、株式投資ではこの『安心感』は大敵となるケースがほとんどです。筆者も株式の買付時に「このチャート形状なら下値不安も少ないしリスクは低いだろう」と安心して買ったらやられてしまう経験を幾度となく味わいました。
売るべし 買うべし 休むべし
株式投資に「売り」と「買い」のどちらかしかないと思うのは誤りで、「休む」ことも大切な行動であるという格言です。『休むも相場』とも言います。
筆者の経験上、証券セールスパーソンが担当しているお客様はキャッシュポジションを持っている時間(期間)が短いと感じていました。例えば、A銘柄を買付→Aが値上がりし売却→すぐにB銘柄を買付→Bが値上がりし売却→すぐにC銘柄を買付、というように常に資金をリスクにさらしている状態がほぼ当たり前の状態でした。(筆者も元証券マンなので理由はわかりますが・・・)
また、利益が出ているうちはまだ良いですが、「損失を取り戻したい!」という気持ちでポジションを積極的に持つようになると危険信号だと言えます。
利益であれ損失であれ、株式を売却した際には一歩下がって相場の大きな流れを観察し、次に自分の得意パターンが来るまでは静観する、という姿勢も大切です。
二度に買うべし 二度に売るべし
投資する銘柄とタイミングを決めた際に、いくら自信があっても「慎重に行動すべき」という意味を込めた格言と言えます。
「ここが底だ!」と思って買っても、さらに下落するのが相場です。
「ここが天井だ!」と思って売っても、さらに上昇するのが相場です。
自信のある場面で行動することは大切ですが、自分の判断が本当に正しいかどうかは、結果を見てみなければわかりません。
売買の際には事前に立てた計画に基づき、『複数回(二度以上でも良い)での取引』を心掛けると精神的な安定感を得ることができるかもしれません。
下手なナンピン すかんぴん
「無計画なナンピン買いを続けてしまうと、大事なお金が無くなってしまいますよ」という格言です。
ナンピン買いには賛否両論があるので、ここでは格言の意味することだけ触れたいと思います。
ポイントは『無計画なナンピン買い』です。
『計画的なナンピン買い戦略』で成果を出している投資家もいると思います。しかし、『無計画なナンピン買い』は大事な資金を減少させる手法と言えるでしょう。特に信用取引を活用してのナンピン買いは危険度と精神的負担が高くなります。(筆者は過去に信用取引を利用したナンピン買いを複数回行い、結果的に追証になりました)
下手なナンピンとならないよう、「ナンピンは一度まで」や「この値段でロスカット」などのルールを徹底して大切な投資資金を守りましょう。
『ナンピンのご利用は計画的に!』
利食い千人力
相場の格言の中でも、有名な格言の一つです。
含み益が発生している銘柄は、売買が確定して初めて利益となります。
株式投資を始めると以下のような局面に遭遇することが多々あります。
(例)1000円で買った株が1100円に上昇。まだまだ上がると保有し続けていたら下落が始まりあっという間に900円になってしまった。
『あの時(利益が出ている時)に売っておけば・・・』と悔やんだ経験がある人もいるのではないかと思います。
「利を伸ばすこと」も株式投資においては非常に重要ですが、「利食い千人力」で目の前の利益を確定させることも有益な場面がきっとあるでしょう。
次回も「相場の格言」についてお伝えさせていただきます。